第26回JPSTSS学会学術集会の開催にあたって

第26回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会(JPSTSS)を担当させていただきます、大阪医科大学整形外科学教室の根尾昌志です。

本学会は名前の通り手術手技の学会ですが、「整形外科と脳神経外科の情報交換」「世界同時進行」「個人レベルでの学会参加」の3本を柱としてきました。その中でも「整形外科と脳神経外科の情報交換」が、この学会の最も大きな特徴と考えます。現在ではお互いの交流も盛んになってきましたが、やはり本学会はその草分けとして確固とした立ち位置を占めています。「手術がうまくなりたい」という、すべての外科医に共通する思いを学会の中心に据えたことが、ややもすれば反発しあっていた両科の結びつけに成功した秘訣でしょう。私も多くの技術や考え方を、この学会を通して脳外科の先生方に教えていただきました。今回の学会では、「手術手技を教えあう」というこの学会の原点に立ち戻ってみたいと思います。

テーマは「ひらめき! 技術を進める力」といたしました。昨今ではありとあらゆることにエビデンスが求められ、多施設共同研究、大規模コホートスタディーなどが花盛りです。もちろん、これはこれで大変大切なことですが、薬の効能、副作用などのデータと違って、いわゆる「エビデンス」だけで語れないのが「テクニック」です。プロ野球において、ある投手を攻略するのに「外角低めのカーブに的を絞るのが良い」というエビデンスがあったとしても、二軍上がりの選手とイチローとではヒットを打てる確率は全く違うでしょう。しかし、そんな中で、できるだけ多くの外科医が安全確実な手術をできるようにしていくことが本学会の使命です。そういった手術手技の底上げを図ることができるのは大規模データよりも、「コツ」や「考え方」であり、そして、それは手術中、診療中のちょっとした気づき、ひらめき、アイデアから生まれるものだ、というのがテーマに込めた私の思いです。

皆様もそのような「後輩には必ず伝えるコツ」をお持ちだろうと思います。また、中には「これだけはタダで人に教えるのはもったいない」といったものをお持ちの先生もおられるかもしれません。主題の「Technical tips」ではそういったアイデアを募集したいと思います。「ちょっとしたこと、でも手術のやりやすさが全く違ってくるコツ」をぜひオープンにして、参加者の手術技術の向上に貢献していただきたいと思います。もちろん診断方法、術前準備、体位の取り方、手術器具、術後管理など、関連するアイデアなら何でもOKです。

もう一つの主題に「脊椎・脊髄外科の新技術」を挙げました。これも「Technical tips」と共通した思いです。昔ながらの方法では「神の手」でも不可能だったことが、最近のハイテク技術のおかげで、凡人でも比較的簡単にできるようになってきました。ナビゲーションなどはその最たるものでしょう。この主題では、手術成績を上げるための新しい手術支援機器や新しいインプラントはもちろんのこと、新しい診断技術、新しい保存的治療法、新しいリハビリテーションなどを募集したいと思います。
ただし、新技術の導入に際して、最も気を付けなければならないものが「手術合併症」です。新しいものには必ず思わぬ落とし穴が存在します。新技術の輝ける面だけでなく、そのダークサイドに焦点を当てた演題も歓迎いたします。

その他、「成人脊柱変形」「脊椎・脊髄腫瘍」「キアリ奇形と脊髄空洞症」も主題とし、外国からのゲストとのディスカッションを楽しみたいと思っています。もちろん一般演題も受け付けます。口演用に3会場を準備しました。いつもよりも多くの演題を口演で採用できると思います。若手の先生もどしどしご応募ください。

特に整形外科領域では学会開催の少ない大阪の地で、大いに学び、考えるとともに、(大阪的に)エレガントな「キタ」やディープな「ミナミ」をぜひ堪能していただきたいと思います。元号も改まった2019年9月6,7日、大阪の地で皆様にお会いできることを大変楽しみにしております。

 

平成30年10月
第26回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会 (JPSTSS学会)
会長 根尾 昌志 (大阪医科大学 整形外科学教室)